スマホの画面に「低速充電中」と表示される、あるいは明らかに充電の進みが遅いとき、内部では一体何が起きているのでしょうか。電気工学的な給電の仕組みは、しばしば「蛇口(充電器)」「ホース(ケーブル)」「受け皿(スマホ本体)」の関係に例えられます。この3つのうち、どこか1箇所でも細いボトルネックが存在すると、水(電流)はスムーズに流れず、全体としての速度は最も低い基準に制限されてしまいます。
見落とされがちな筆頭要因が充電器ワット数不足です。過去の古いスマートフォンに付属していた5W(5V/1A)出力のアダプターを、大容量バッテリーを積んだ最新機種にそのまま使い回しているケースが目立ちます。最新のスマートフォンは18Wから30W以上の給電入力を前提に設計されており、5Wの充電器では受け皿を満たすために膨大な時間を要します。その結果、端末側が「給電能力が著しく不足している」と検知し、低速充電の警告を表示するわけです。
続いて疑うべきは急速充電できない理由の多くを占めるケーブルの制約です。外見上は同じType-Cケーブルに見えても、内部の配線仕様によって許容電流(2.4Aや3A、あるいは5A対応など)は大きく異なります。規格外の安価なケーブルやデータ転送専用に近い細い配線を使用していると、安全規格に準拠したUSB-PD急速充電対応通信が成立せず、端末側が安全マージンを取って給電量を極限まで絞り込みます。蛇口をいくら全開にしても、ホースが針のように細ければ勢いよく水は届きません。