小田休憩所をベースキャンプとして出発する宝篋山登山ルートの中で、二大人気コースとして知られるのが「極楽寺コース」と「小田城コース」です。登りと下りで異なるコースを組み合わせた周回ルートを取るのが定番ですが、それぞれの道程には明確な地形的差異が存在します。
下流から山頂を目指す宝篋山極楽寺コースは、せせらぎを聞きながら登る沢沿いの景観が魅力で、全体の約6割以上の登山者が登りルートとして選択します。「慈悲の滝」や「五輪塔」などの見どころが点在し、夏場でも比較的涼しさを保てる点がメリットです。しかし、沢沿い特有の「濡れた岩場」や「露出した木の根」が連続するため、スニーカーなどの平底靴ではスリップ事故の危険性が極めて高くなります。特に雨天後や朝露の残る午前中はグリップ力の高いトレッキングシューズが欠かせません。
一方、尾根筋を辿る宝篋山小田城コースは、日当たりが良くからりとした土の道が続きます。視界が開けるポイントが多く、背後に広がる関東平野や筑波山を望みながら歩ける爽快感が特徴です。傾斜は極楽寺コースに比べてやや緩やかですが、尾根伝いのため風の影響を受けやすく、冬場の寒風や夏場の直射日光には相応の防寒・熱中症対策が求められます。下山時にこのコースを選ぶと、膝への負担を軽減しつつ快適なパノラマを楽しめるため、多くのベテランガイドが「登り:極楽寺コース、下り:小田城コース」の周回を推奨しています。