「せっかく出した希望休を店長に却下された。これは違法ではないのか」という声は少なくありません。しかし法律論の観点から言えば、希望休拒否の違法性を問うことは極めて困難です。希望休は法律上の制度ではないため、使用者がシフト編成権の範囲内で希望を却下し、別の日を公休に指定すること自体は労働基準法違反には該当しません。
ただし、いかなる場合でも会社側の裁量が許されるわけではありません。以下の3つのケースに該当する場合は、違法行為やハラスメントと判断される可能性が極めて高くなります。
第1に、労働契約や就業規則に反している場合です。採用時に「毎週水曜日は固定で希望休を取得できる」と書面で特約を結んでいたにもかかわらず、一方的に出勤を命じる行為は契約違反(債務不履行)に該当します。
第2に、有給休暇を勝手に希望休として処理する行為です。労働者が「ここは有休を使いたい」と申請した日を、会社側が人件費削減やシフト埋めのために通常の公休(希望休)としてすり替えたり、逆に公休希望を有給休暇の残日数から勝手に引き落としたりする行為は、労働基準法第39条違反となります。
第3に、特定の従業員に対する報復や嫌がらせ(パワーハラスメント)です。業務上の合理的な理由がないにもかかわらず、「意に沿わない発言をしたから」「気に入らないから」という理由で特定の人物の希望休だけを意図的にすべて却下し続ける行為は、職場環境配慮義務違反や不法行為に問われる余地があります。