映画ファンや歴史研究者の間では広く知られているものの、一般的な認知において誤解されがちな歴史的事実がいくつか存在します。
最大の盲点は、『蒸気船ウィリー』はミッキーマウスのために制作された「第1作目のアニメーション」ではないという点です。実際に制作された順序を検証すると、以下の経緯を辿っています。
- 第1作(試作):『飛行機狂』(Plane Crazy) - 1928年5月にサイレント版の試写を実施するも、配給会社の買い手がつかず一般公開が見送られる。
- 第2作(試作):『ギャロッピン・ガウチョ』(The Gallopin' Gaucho) - 同じくサイレント版として制作されたが、同様に配給先が決まらずお蔵入り寸前となる。
- 第3作(公開作):『蒸気船ウィリー』(Steamboat Willie) - トーキー映画の将来性を確信したウォルトが音響同期システムを採用して制作。1928年11月18日に初の劇場一般公開を果たす。
当時の興行記録および配給資料が示す通り、劇場で一般観客向けに正式公開された最初のアニメーションが第3作目の『蒸気船ウィリー』であったため、この公開日である11月18日が永久不変の公式バースデーとして制定されました。なお、先行して作られていた『飛行機狂』と『ギャロッピン・ガウチョ』も、後に音声を付けて正式公開されています。