片岡愛之助のパブリックイメージを決定づけた最大の転機は、TBS系日曜劇場『半沢直樹』で演じた金融庁検査官・黒崎駿一役でした。「金融庁検査局主任検査官の黒崎よ!」「あなた、私の質問に答えなさいよ!」といった強烈なおネエ言葉と、部下の急所を容赦なく握りつぶす怪演は、日本中の視聴者を震撼させ、瞬く間にネットミームとして拡散されました。
この役柄について、当時の現場スタッフは愛之助の徹底した役作りを高く評価しています。
「愛之助さんは『歌舞伎の女形や立役のメソッドを現代劇に応用したらどうなるか』を極限まで計算し尽くしていました。単なるコミカルな悪役に終わらせず、国家公務員としての狂気とプライドを滲ませることで、ドラマ史に残る悪役を生み出したのです。現場では誰よりも腰が低く、エキストラや若手スタッフに対しても常に笑顔で丁寧に接する紳士的な姿勢が印象的でした」
舞台裏で見せる誠実な人柄は、自身の弟子たちに対する接し方にも色濃く表れています。愛之助の一門には、片岡愛一郎や片岡愛三朗といった弟子たちが所属していますが、稽古場では決して理不尽な怒号を飛ばすことはありません。自身が下積み時代に味わった苦労や悔しさを熟知しているため、所作やセリフの指導では「なぜそう動くのか」という論理的な説明を徹底し、弟子の適性を見極めながら着実に役を与えています。
SNSや知恵袋などネット上の評判を見ても、「愛之助さんの舞台はセリフが明瞭で、歌舞伎初心者でも物語に引き込まれる」「ドラマでの怪演と、歌舞伎座での端正な二枚目役のギャップが素晴らしい」「弟子を大切にしているのが舞台からも伝わってくる」といった好意的なコメントが圧倒的多数を占めています。