実業家として大成功を収めた後も、舩坂弘の心からアンガウル島で散華した戦友たちの姿が消えることはありませんでした。得られた莫大な私財を投じ、舩坂はペリリュー島やアンガウル島などパラオ諸島の激戦地へ幾度となく足を運び、遺骨収集と慰霊碑の建立に奔走しました。
自らの凄絶な体験を後世に語り継ぐため、名著『英霊の絶叫―玉砕島アンガウル戦記』をはじめ、『生きていた英霊』『聖書と刀』などの手記を相次いで執筆・出版。印税のすべてを現地の慰霊活動や遺族への支援に充てました。現地パラオでは、住民のために学校や公共施設の整備を支援するなど、日パ友好の架け橋としても尽力しています。
晩年まで戦没者への鎮魂と世界平和への祈りを捧げ続けた舩坂弘は、2006年(平成18年)2月11日、85歳でその波乱に満ちた生涯を閉じました。渋谷のスクランブル交差点を見守る大盛堂書店と、南洋パラオの青い海を望む慰霊碑は、今も静かに彼の不屈の魂を物語っています。