中国のクローン技術が世界トップレベルにあることを決定づけたのは、中国科学院神経科学研究所(上海)が発表した一連の成果でした。2018年、研究チームは体細胞核移植(SCNT)技術を用いて、世界で初めて霊長類であるカニクイザルのクローン「中中(チョンチョン)」と「華華(ホアホア)」を誕生させました。羊やマウスと異なり、霊長類の細胞は分化をリセットするリプログラミングが極めて困難とされ、長年「越えられない壁」とされてきた領域です。
中国科学院はエピジェネティクス(後天的な遺伝子制御)に関わる酵素処理を駆使し、胎盤の発達障害を克服しました。さらにその後も研究を進め、生存率が極めて低かったアカゲザルのクローン個体を2年以上生存させる技術的ブレークスルーを達成しています。これにより、アルツハイマー病やパーキンソン病、免疫疾患などの創薬モデルとして、遺伝的背景が同一のサルを供給する体制が確立されつつあります。
欧米の学術界が倫理規定や動物愛護団体の抗議によって実験用サルの確保に苦慮するなか、中国は豊富な霊長類資源と手厚い国家予算を武器に、基礎研究から応用研究へと一気に突き抜けました。