都市社会学者レイ・オルデンバーグが提唱した「サードプレイス(第3の居場所)」の概念は、積雪寒冷都市・札幌において極めて特殊な意味合いを持ちます。冬期には日中の屋外活動が厳しく制限される札幌において、冷暖房が完備され、金銭の消費を求められず、誰にでも等しく開かれている公共図書館は、都市の生命維持装置(ソーシャル・セーフティネット)として機能しています。
物価高騰と情報化社会の進展により、民間コワーキングスペースやカフェの利用料は上昇を続けています。そのなかで、無償で膨大な専門書に触れ、自己研鑽に励むことができる中央図書館は、経済格差が教育格差や情報格差(デジタルデバイド)へと直結するのを防ぐ最後の防波堤です。単なる「無料の貸本屋」と批判する向きもありますが、学術書や絶版資料、地方自治資料を保存・提供する機能は、市場原理に委ねていては決して維持できません。
【プロの結論】向いている人・おすすめできない人の利用判断基準
利用目的と館の特性が一致していなければ、快適な時間は得られません。編集部が現場取材と運用データから導き出した利用の判断基準を提示します。
▼札幌市中央図書館の利用が向いている人
- 北海道や札幌の歴史、郷土史、行政資料など専門的な調査研究を行いたい人
- BGMや話し声のない、極限まで抑制された静寂空間で読書に没頭したい人
- 一度に複数の書籍(最大10冊)を借りて自宅でじっくり読み込みたい人
- 絵本コーナーや児童書フロアで子どもと一緒に落ち着いて本を選びたいファミリー層
▼おすすめできない人(他施設を検討すべき人)
- 激しいタイピング音を伴うPC作業や、長時間のオンライン会議を行いたい人(→ 札幌市図書・情報館や民間コワーキングが最適)
- 話題の新刊ベストセラーを今すぐ読みたい人(→ 書店での購入または電子書籍が現実的)
- カフェのようにコーヒーを飲みながら会話を交わして作業したい人(→ 一般カフェを推奨)