繁華街の路上やSNS上では、「声をかけただけで警察を呼ばれた」「通報されてパトカーが何台も来た」といった投稿が定期的に拡散され、議論を呼んでいます。しかし、そうしたネット上の書き込みと警察沙汰に至った実際の現場検証記録との間には、大きな乖離があります。
被害に遭った女性たちの証言を検証すると、最初から通報しようとしていたケースは極めて稀です。大半は「無視しているのに100メートル以上ついてこられた」「角を曲がっても背後をつけられ、自宅を特定されそうになった」「『減るもんじゃないだろ』『調子に乗るな』と威圧的な態度を取られた」といった、恐怖が限界に達した結果としての110番通報です。知恵袋やコミュニティサイトでも、「コンビニに駆け込んで店員に通報してもらった」「交番が見当たらず、震える手で路上から110番した」という切迫した手記が多数寄せられています。
対照的に、いわゆるナンパ講習や悪質な界隈で「警察を呼ばれた」と発言している当事者の言い分を精査すると、「少し粘っただけ」「ただ楽しく話しかけただけなのに過剰反応された」と自己の加害性を矮小化する傾向が顕著です。警察庁の運用データや現場警察官の証言によれば、警察官が現場に駆けつけてナンパ行為者に対する職務質問を実施する場合、単に声をかけた事実だけを理由に厳重追及することはありません。通報内容に基づき、通報者の怯え方、現場周辺の防犯カメラ映像、相手の所持品や過去の前歴・指導歴を綿密に照合した上で、悪質性を判断しています。
ネットの反応を見渡すと、「女性が過敏すぎる」というピントのずれた冷笑論は急速に後退しています。「同意のないつきまといは防犯上、即通報が正解」「夜道で知らない男にしつこく後をつけられたら恐怖以外の何物でもない」という、被害者の安全確保を支持する声が圧倒的多数を占めています。