物語の起点となるのは、極限まで救いのない現実です。20歳の大学生・クスノキは、極度の貧困と将来への挫折から、愛読していた本やCDを売り払った古書店で「寿命を買い取ってくれる店」の噂を耳にします。半信半疑で訪れたその場所で告げられた彼の余命30年の査定総額は、わずか30万円(1年につき1万円)という衝撃的な数値でした。
この世界における寿命の買い取り価格は、本人が生涯で成し遂げる社会的功績、他者に与える幸福の総量、そして本人の幸福度によって厳格に算出されます。つまり、1年1万円という査定は、クスノキがこの先どれだけ生きようとも、誰一人幸せにできず、自分自身も惨めな思いのまま生涯を終えるという冷酷な宣告を意味していました。
自暴自棄になったクスノキは、わずか「3か月」の余命だけを手元に残し、残る30年の寿命を売り払います。手に入れた大金を手に、刹那的な散財を試みる彼の前に現れたのが、余命わずかな人間が社会に迷惑をかけないよう監視する役目を負った謎の少女・ミヤギでした。他人の目には決して映らない監視員と、余命3か月を切った青年による奇妙な共同生活が幕を開けます。