教育関連のネットコミュニティやSNS上では、数年に一度の頻度で「ゆとり教育の終了に伴い、デシリットルは教科書から消えた」「最新の算数ではmlとlしか習わないらしい」という言説がまことしやかに拡散します。
この言説の真偽について、現行の文部科学省「小学校学習指導要領(算数編)」および教科書会社各社(東京書籍、啓林館、日本文教出版など)の指導書を確認したところ、「dl廃止説は明確なデマであり、現在も必修単位として記載されている」という客観的事実が裏付けられました。
では、なぜこのような「廃止の噂」が繰り返し浮上するのでしょうか。背景には、2000年代以降の学習指導要領改訂に伴う取り扱いのニュアンスの変化があります。
昭和から平成初期の教科書では、dlを用いた複雑な筆算や長大な単位換算ドリルが過度に課され、子どもがつまずく元凶として批判の対象になっていました。これを受け、文部科学省は「日常生活で使われない単位の換算に過度な時間を割くのは本質的ではない」とし、dlの指導目的を「10進法の位取りの体感」に絞り込み、難解な計算問題のウェイトを削減した経緯があります。教育現場の負担軽減措置が伝言ゲームのように歪められた結果、「教科書から消滅した」という誤解へと発展したのが真相です。