なぜこれほどまでに南鳥島周辺が注目されるのか。その背景には、ハイテク産業における「中核素材の覇権」を巡る世界規模の争いがある。長年、中国は世界全体のレアアース精錬能力の大半を掌握し、外交交渉における強力なカードとして利用してきた。
しかし、日本が南鳥島沖での国産レアアースの供給網を構築すれば、その威嚇効果は劇的に低下する。日米欧をはじめとする有志国グループにとっても、中国を介さないサプライチェーンの確立は「経済安全保障の聖杯」とも言える。南鳥島を巡る静かな摩擦は、単なる一国間の領土・海洋権益問題を超え、グローバルなハイテク産業の勢力図を左右する分水嶺となっているのだ。