アートサイエンスミュージアムを訪れた者がまず圧倒されるのが、マリーナ湾に浮かぶように咲く「蓮の花(ロータス)」を模した前衛的な建築デザインです。設計を手掛けたのは、マリーナベイ・サンズ本体やチャンギ国際空港の「ジュエル(Jewel)」を世に送り出した世界屈指の建築家、モシェ・サフディ(Moshe Safdie)氏です。
この独創的なフォルムには、緻密な構造計算と環境への配慮が凝縮されています。
- 「シンガポールの歓迎の手」:10本の突き出た構造体(花弁)は、訪れる人々を温かく迎え入れる「開かれた手」をも象徴。指先にあたる先端部分には天窓が配置され、ギャラリー内部にドラマチックな自然光を届ける設計になっています。
- 雨水を再利用する環境共生システム:花びらの中央部分はすり鉢状にくぼんでおり、熱帯特有のスコールによる雨水を中央の吹き抜け(オキュラス)から地下へと垂直に落とし込む滝のような構造を採用。収集された雨水は館内のトイレ用水や設備の冷却水として100%循環利用されています。
- 最大高60メートルの無柱空間:グラスファイバー強化ポリマー(FRP)などの先端複合素材を使用することで、内部に支柱のない開放的な展示スペースを実現しています。
建築そのものが「アートとサイエンスの融合」というミュージアムの哲学を体現しており、外観を鑑賞・撮影するだけでも訪れる価値があるランドマークといえます。