脱いだ浴衣を畳む際、なぜ多くの人がシワだらけにしてしまうのでしょうか。悉皆職人や着付け講師への取材を通じて、失敗を招く3つの構造的要因が明らかになりました。
第一の理由は、「衿(えり)とおくみの折り目を無視して洋服感覚で畳んでしまうこと」です。浴衣は平面裁断で作られており、決まった縫い目のライン(おくみ線・脇縫い線)通りに畳むことで生地に一切のテンションがかからない設計になっています。しかし、洋服のように適当に真ん中から折ると、本来折ってはいけない身頃の中央に斜めのテンションがかかり、強いシワが焼き付いてしまいます。
第二の理由は、「着用直後の体温と湿気を含んだまま畳んでしまうこと」です。夏の夜に数時間着用した浴衣は、およそコップ1杯分(約200ml)の汗と湿気を吸い込んでいます。繊維が湿気を帯びた状態で圧力をかけて畳むと、アイロンで折り目をプレスしたのと同じ状態になり、翌朝には頑固なシワが固定化されます。
第三の理由は、「重い帯や小物を浴衣の上に重ねて収納すること」です。特に化繊混紡や糊の効いた綿生地は、上からの荷重に弱く、畳み目のエッジ部分が潰れて取れにくい折れジワになります。シワを防ぐためには、「湿気を抜く」「正しい縫い目で畳む」「過度な圧力をかけない」という3原則を守ることが不可欠です。