膀胱瘻を運用する中で、介護者が最も慌てるのが「突然の尿漏れ」と「カテーテルの閉塞」です。いざというときに冷静に対処できるよう、発生メカニズムを頭に入れておく必要があります。
瘻孔の隙間から尿が漏れ出してくる場合、主な原因は3つ考えられます。1つ目はカテーテル先端の固定水(滅菌精製水)が自然蒸発してバルーンがしぼんでいるケース。2つ目はカテーテル刺激によって膀胱が勝手に収縮を繰り返す「膀胱無抑制収縮(膀胱痙攣)」によるもの。3つ目はカテーテル自体が沈殿物で詰まり、逃げ場を失った尿が瘻孔の脇から溢れ出しているケースです。
漏れを見つけた際、自己判断で太いカテーテルに入れ替えようとすると瘻孔を広げて逆効果になります。まずは蓄尿バッグへ尿が流れているかを確認し、完全に止まっている場合は閉塞を疑って速やかに訪問看護師や主治医へ連絡してください。万が一カテーテルが自然に抜去されてしまった場合、瘻孔は数時間から半日程度で急速に収縮して穴が塞がってしまうため、清潔なガーゼを当てて数時間以内に医療機関を受診することが極めて重要です。
在宅介護における「入浴」について、多くの家族が「お腹に穴が空いているのに湯船に入って大丈夫なのか」と不安を口にします。しかし、瘻孔が上皮化して安定していれば、湯船への入浴は原則として全く問題ありません。浴槽のお湯から膀胱へ水が逆流することは通常ありません。
入浴時は、蓄尿バッグをつけたまま浴槽の外の低い位置に置いて浸かるか、主治医の許可のもとで一時的にカテーテルをプラグ(専用の栓)で閉鎖して入浴します。入浴後は瘻孔周囲をシャワーで洗い流し、清潔なタオルで擦らずに優しく水分を吸い取って乾燥させてください。お風呂で全身を温め清潔に保つことは、患者の精神的リフレッシュだけでなく血流改善にも大きな効果を発揮します。