「尻に火がつく」の基本的な意味は、物事が差し迫って切羽詰まった状態になり、慌てて行動や対策を始めることです。単に忙しいだけでなく、「もう猶予がない」という強烈な緊迫感を伴う点が特徴と言えます。
この表現の語源には諸説存在します。広く知られているのは、かつて庶民の健康法や折檻として用いられた「お灸(きゅう)」に由来する説です。お尻やすねに据えたもぐさが激しく燃え、熱さに耐えかねて飛び起きる姿から生まれたとされています。また、江戸時代の長屋など木造家屋の密集地において、火災の際に着物の裾やお尻に火が燃え移るほど危険が間近に迫った極限状態を例えたという説も有力です。
いずれの説においても共通しているのは、「身の危険を肌で感じるレベルの非常事態」という原義です。単なるスケジュールの遅れではなく、放置すれば大惨事になりかねない瀬戸際を指す言葉として定着しました。