ビジネスの最前線では、この二つの使い分けができていないことによるトラブルが頻発しています。大手ITベンダーで調達責任者を務める担当者は、取材に対して次のような苦言を漏らしています。
「営業担当者が『本日は御社の課題をヒアリングに参りました』と意気込んで来社されるのは良いのですが、手元のチェックリストを上から順に読み上げるだけの『一問一答の取り調べ』になる商談が後を絶ちません。こちらの返答に対して深掘りも共感もなく、ただ項目を埋めていく姿勢に辟易し、途中で打ち切りを申し出た経験が何度もあります」
SNSやビジネス系オンラインコミュニティの投稿を追跡分析すると、「新卒営業のヒアリングが単なる尋問になっていて商談相手を怒らせた」「上司から『もっとリスニングしろ』と怒られたが、具体的に何を直せばいいのか分からない」という悲痛な声が数多く見受けられます。
現場で発生している最大の問題は、「ヒアリング(質問して情報を得ること)」に偏重し、「リスニング(相手の感情や真意を受け止めること)」を疎かにしている点です。ヒアリングを成功させるための大前提として、相手が安心して本音を語れる土台をリスニングによって築かなければ、回収できる情報は表面的な建前だけに終わってしまいます。