「手羽元の細い端を握りしめ、全体重をかけて肉を裏返そうとしたら指の皮が擦りむけた」——ネットの料理相談コミュニティやSNS上には、毎年このような悲痛な声が数多く投稿されます。なぜ、手羽元はこれほどまでに硬く、素直にめくれてくれないのでしょうか。
その理由は、鶏の骨格と筋肉をつなぐ「腱(けん)」の強靭さにあります。手羽元は人間でいう上腕部に当たり、翼を羽ばたかせるために非常に強い腱と筋膜が骨の末端に頑丈に癒着しています。この強靭な結合組織が骨に張り付いたままでは、いくら大人の男性が力任せに引っ張っても肉が途中で千切れるか、骨からめくれずに失敗してしまいます。
そこで真価を発揮するのが、手羽元チューリップをキッチンバサミで作る簡単裏ワザです。まな板も包丁も汚さず、ハサミの先端を骨に沿わせるだけで、驚くほどあっけなく「コロン」とした可愛らしいチューリップ型へと変貌します。
準備するものは、清潔なキッチンバサミとキッチンペーパー2枚だけです。以下の4ステップを押さえるだけで、作業効率は劇的に向上します。
- 細い側の関節を見極める:手羽元の骨が露出している細い側の端(手羽先と繋がっていた関節部分)を持ちます。
- 骨の周りの筋膜にハサミを入れる:骨の細い先端から約1〜2cm下の位置にハサミの刃を入れ、骨の全周を取り囲む白くて硬い腱をジョキジョキと切断します。
- 骨肌に沿ってハサミを滑らせる:切断した腱の隙間からハサミの刃を入れ、骨の表面を削ぎ落とすような感覚で太い関節側へ刃先を2〜3回滑らせて肉を剥がします。
- ペーパータオルで一気に裏返す:露出した細い骨を片手で持ち、もう片方の手でキッチンペーパーを使って肉の端を掴み、太い関節に向かって靴下を脱がせるようにグッと押し下げます。
滑りやすい鶏皮を乾いたペーパータオル越しに掴むことで、油分による手の滑りがゼロになり、握力に頼らずテコの原理で綺麗に肉が反転します。この下処理を導入するだけで、成形にかかるストレスはほぼ完全に消え去ります。