かつて日本国内でも大きな話題を呼んだ「インスタいいね数が勝手に消えた原因」や、突如として始まった表示の仕様変更。この背景には、プラットフォーム運営企業としての抜本的な哲学の転換が存在していました。
Meta社公式発表 いいね数非表示の経緯
時計の針を巻き戻すと、Meta社(当時Facebook社)は2019年5月のカナダを皮切りに、同年7月にはオーストラリア、ニュージーランド、イタリア、アイルランド、ブラジル、そして日本を含む計7カ国で大規模な「いいね数非表示テスト」を電撃的に開始しました。当時、ユーザーの画面から突如としてカウントが消滅したため、日本国内のSNSでも「バグではないか」「アカウントがペナルティを受けたのか」と大きな混乱が生じました。
このテスト期間を経て、Meta社は2021年5月26日に世界規模での正式な機能導入を発表しました。その公式ステートメントの中で、最高経営責任者のマーク・ザッカーバーグをはじめとする経営陣は、「ユーザーが数字のプレッシャーを感じることなく、自分自身を表現し、人々とつながることに集中できるようにするため」と明言しています。強制的な非表示ではなく、ユーザー自身が「表示・非表示を選択できる裁量権」を持たせるという落としどころに着地したのが現在のシステムです。
インスタいいね数非表示の理由と真相
なぜMeta社は、自社の成長エンジンであった「いいね!」の数字を覆い隠す決断を下したのでしょうか。その真相には、イギリスの王立公衆衛生協会(RSPH)が発表した「若者のメンタルヘルスに最も悪影響を与えるSNSはInstagramである」という調査報告書や、米国議会からの厳しい追及がありました。
投稿へのリアクション数が可視化され続ける環境は、利用者に「社会的比較」を強制し、自己肯定感の低下やうつ症状、いわゆる「SNS疲れ」を引き起こす元凶と批判されていました。Meta社はこの構造的危機に対し、利用者のデジタルウェルビーイング(心身の健全性)を保護する姿勢を対外的に示す必要があったのです。
インスタいいね非表示の評判とネットの反応
ネット上の掲示板やSNSコミュニティにおけるインスタいいね非表示の評判とネットの反応を検証すると、導入初期と現在とで評価が大きく二分、そして変遷していることが浮き彫りになります。
導入初期(2019〜2021年頃)は、「インフルエンサーの価値が測りにくくなる」「エンゲージメントが低下してアプリを開く頻度が減る」といったビジネス層やヘビーユーザーからの反発が目立ちました。しかし、選択制が定着した現在では、「人と比べるストレスから解放された」「数字にとらわれず本当に好きな写真を投稿できるようになった」という好意的な評価が圧倒的多数を占めています。