ネット上で囁かれる「シンパリカの危険性」や「死亡例がある」という噂の発端は、2018年に米国食品医薬品局(FDA)が発出したイソオキサゾリン系駆虫薬に関する注意喚起にあります。シンパリカの有効成分サロラネルはこの系統に属しており、稀に筋肉の震え、運動失調、痙攣などの神経症状を引き起こす可能性があると公表されたことで、一部の飼い主に強い不安が広がりました。
しかし、実際の臨床データを見ると、これらの重篤な神経症状が発生する確率は極めて稀です。日本国内の農林水産省による承認審査資料や各種毒性試験でも、指示された用法・用量を守っている限り高い安全域が確保されていることが確認されています。死亡に至るケースの多くは、重度の基礎疾患を抱えていた場合や、体重に見合わない過剰投与、他の薬剤との併用事故など特殊な要因が重なったものと考えられています。
動物病院の臨床現場で最も一般的に報告される副反応は、一過性の吐き気、下痢、食欲不振、軽度の嗜眠です。これらは薬が体内に吸収される初期段階で一時的に胃腸が刺激されて生じるケースが多く、大半は24時間以内に自然回復します。ただし、過去にてんかん発作を起こしたことがある愛犬や脳神経系に持病を抱える犬へ投与する場合は、事前にかかりつけの獣医師と十分なリスク評価を行う必要があります。