東京・JR新大久保駅から大久保駅周辺にかけて広がる通称「リトル・カトマンズ」。雑居ビルの階段を上がり、スパイスの香辛料が漂うハラルミートネパールスパイス販売店や現地の料理店に足を踏み入れると、数字だけでは見えない生活者のリアリティが立ち現れます。
大久保通り沿いのスパイス店を営むネパール人オーナーは、仕入れ現場の舞台裏を次のように語ります。
「新大久保近辺で流通している冷凍チキンや冷凍マトンは、ほぼ100%がハラール認定を受けた正規輸入肉です。仕入れ先である卸売業者や商社が、パキスタン系やバングラデシュ系、ネパール系の全エスニック料理店向けに同一のロットで供給しているからです。わざわざハラールではない一般の肉を別ルートで仕入れるほうが流通コストが高くつきます。だから、看板に大きくハラールと書いていなくても、肉そのものは正規の処理が施されたものなのです」
さらに、都内のIT企業に勤務するマレーシア出身のムスリム男性(30代)は、自身の外食事情についてリアルな実感を明かします。
「日本の一般的なレストランでは食べられるものが限られますが、近くのネパール料理店は最も頼りになる避難所です。店員さんに確認すれば、どの肉がハラールか笑顔で教えてくれます。ダル(豆スープ)、バート(米)、タルカリ(野菜のおかず)を中心としたダルバートは胃にも優しく、素材の味が引き立っています。お酒を置いている点さえ納得できれば、これほど日常使いに適したハラール対応店はありません」
このように、現場のリアルな証言からは、制度としての認証マークにとらわれない生活実感としてのハラール共生が自然に機能している姿が見えてきます。