彼女の俳優としての足腰を鍛え上げた場所こそ、柄本明が座長を務める劇団東京乾電池である。19歳で上京し、厳しいオーディションを経て劇団の門をたたいた江口のりこ。アルバイトを掛け持ちしながら演技の基礎と表現の厳しさを徹底的に叩き込まれた下積み時代は、現在の揺るぎない演技力の土台となった。
柄本明をはじめとする妥協を許さない先輩たちの背中を見つめながら、「役を演じるのではなく、そこにただ生きる」という泥臭くも深い演劇的アプローチを体得。この劇団時代に培われた圧倒的なリアリティと、型にはまらない存在感が、後に日本芸能界で唯一無二とされるポジションを確立する原動力となった。