多くの人がみつまめの寒天を「無味無臭の脇役」と誤解している。しかし、名店と呼ばれる店で供される寒天はまるで別物だ。厳選された天草(寒天原料)を何種類もブレンドし、丁寧に煮出して固めた寒天は、口に含んだ瞬間に清涼な海のミネラルをかすかに漂わせる。
箸やスプーンで持ち上げると、ぷるんと弾みながらも、歯を入れた瞬間にサクッと心地よく崩れる。この独特の歯切れは、市販の粉寒天では到底再現できない職人技の賜物だ。京都の地下水がもたらす軟水のまろやかさが、天草特有のえぐみを削ぎ落とし、澄み切った旨味だけを抽出している。