SNSのコミュニティや知恵袋、職場の人間関係相談を検証すると、「神経質な人と同じ空間にいると息が詰まる」「一挙手一投足を監視されているようで気が休まらない」といった周囲の悲鳴が数多く見受けられます。なぜ神経質な振る舞いは、これほどまでに周囲を消耗させてしまうのでしょうか。
その最大の原因は、自らの不安を鎮めるための「マイルールの他者強要」にあります。神経質な人は、自分自身が定めた厳しい手順や基準を守ることで辛うじて心の平穏を保っています。そのため、他者がその枠組みから少しでも外れた行動を取ると、自分自身の安全が脅かされたように錯覚し、過度な指摘や不機嫌な態度で相手をコントロールしようとしてしまうのです。
しかし、当事者の手記や臨床面談の記録に目を向けると、最も苦しんでいるのは当事者本人であるという痛烈な実態が浮かび上がります。「自分が細かいことで騒ぎ立てているのは自覚しているが、頭の中の警告音が鳴り止まない」「寛容で大らかな人になりたいのに、どうしても雑な仕事や汚れが許せず自己嫌悪に陥る」というように、自制できない不安と孤立感の間で激しい内面的葛藤を抱えています。
神経質という気質は、環境と発揮の仕方によって「致命的な短所」にも「卓越した長所」にも姿を変える両刃の剣です。
・短所としての側面:決断スピードの遅さ、融通の利かなさ、対人関係の緊張、慢性的な疲労感や不眠。
・長所としての側面:極めて高い危機察知能力、契約書や規程の穴を見抜く緻密さ、約束や納期を厳守する高い責任感、リスクヘッジの徹底。