「エアコン逆止弁を付けると室内機から水漏れする」というネット上の噂は、決して都市伝説ではありません。ここからは、エアコン逆止弁のデメリットと真相、そしてエアコン逆止弁の水漏れ理由を構造力学の視点から紐解きます。
エアコンが冷房運転を行う際、熱交換器で空気中の水分が結露し、真夏には1日あたり数リットルから十数リットルもの排水が発生します。この水は傾斜(勾配)による自然流下の力だけでドレンホース内を屋外へ流れ落ちていきます。
逆止弁の内部には、水の自重で下方に押し開かれ、水が切れると自動で閉じる極めて繊細なフラップ(可動弁)が内蔵されています。しかし、エアコン内部から流れ出る水には、空気中の細かいホコリ、ハウスダスト、タバコのヤニ、そしてカビや雑菌の死骸が溶け込んでいます。これらが時間の経過とともに「バイオフィルム」と呼ばれるヌメリやスライム状のヘドロへと変貌するのです。
ヘドロがフラップの可動軸や弁の座面に絡みつくと、フラップが固着して開かなくなります。行き場を失った結露水はドレンホース内を逆流し、室内機のドレンパンから溢れ出て、エアコン本体の下部やルーバーからポタポタと室内に落下します。最悪の場合、直下に置いてあったテレビやパソコンなどの精密家電を水没させたり、階下への漏水被害を引き起こしたりする大惨事へと発展します。
「逆止弁は便利な消音器であると同時に、排水管内にあえて意図的な障害物を設ける行為でもある」という物理的なリスクを認識しておく必要があります。