なぜ冷やす?ブロッコリーDna抽出実験の原理と失敗しない観察のコツ

なぜ冷やす?ブロッコリーDna抽出実験の原理と失敗しない観察のコツ

なぜ冷やす?ブロッコリーDna抽出実験の原理と失敗しない観察のコツについて押さえておきたい ポイントを分かりやすく解説いたします。

実験のハイライトである「冷えたエタノールを注ぐ工程」には、実験の成功を決定づける2つの重大な科学的理由が存在します。

第1の理由は、温度低下によるDNAの溶解度の劇的な低下です。DNAは水分子となじみやすい性質(親水性)を持っていますが、アルコールに対しては非常に溶けにくい性質(不溶性)を示します。食塩水と洗剤で抽出した液体にエタノールを加えると、DNAを取り囲んでいた水分子がエタノール側に奪われ、DNAは水中に溶けていられなくなります。

このとき、エタノールが冷たければ冷たいほどDNAの溶解度は極端に下がり、液体から押し出されるようにして素早く凝集します。抽出液とエタノールの境界部分に、無数のDNA分子が絡み合って目に見える白い糸状の塊となって浮かび上がってくるのはこのためです。

第2の決定的な理由は、DNA分解酵素(DNase)の活動を抑制することです。植物の細胞をすりつぶして破壊すると、細胞内に元々存在していたDNaseという酵素が同時に放出されます。この酵素は常温下で活発に働き、目的のDNAを細切れに切断してしまいます。

エタノールをあらかじめマイナス20℃前後の冷凍庫でしっかり冷やしておくことで、液全体の温度を急激に下げ、酵素の働きを瞬時にストップさせることができます。DNAが切断されずに長い鎖のまま残るからこそ、目視可能な美しい繊維状の束として回収できるのです。

吉田 誠
著者

吉田 誠

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