昭和歌謡やミュージカル界に不滅の足跡を刻んだいずみたく氏の死因は「肝不全」と公式に発表されています。1992年(平成4年)5月11日午前4時11分、入院先の東京都新宿区・東京女子医科大学病院で静かに息を引き取りました。1930年5月15日生まれのいずみ氏は、享年62歳(満61歳没)。あと4日で62歳の誕生日を迎える直前の無念の旅立ちでした。
関係各社の取材記録や当時の関係者の回想録によると、いずみ氏は亡くなる以前から肝臓に慢性的な疾患を抱えていました。肝不全は、肝臓の機能が著しく低下し、体内の解毒作用や代謝が維持できなくなる重篤な病態です。長年にわたる過密な創作活動、全国を飛び回る舞台指導、そして深夜に及ぶ執筆など、睡眠時間を削りながら音楽に心血を注ぎ続けた極度の過労が、徐々にその体を蝕んでいったと見られています。
さらに晩年のいずみ氏は、自らの劇団運営にとどまらず、1989年の参議院議員選挙で当選を果たし、国会議員としての激務も背負っていました。「日本の文化予算を欧米並みに引き上げ、芸術家が正当に報われる社会を作らなければならない」という強い使命感から、病状が悪化してからも登院を続け、病室から指示を出すなど、文字通り命を削って公務と音楽に向き合っていました。最期の瞬間まで弱音を吐かず、創作の灯を絶やさなかった姿勢は、まさに不屈のクリエイターそのものでした。