中東屈指の近代都市ドバイが、巨額の資金を投じてまで人工島を造成した最大の理由は「極端に短かった自然の海岸線を劇的に伸ばすこと」でした。
もともとドバイ首長国の天然海岸線は約72kmしかなく、ビーチ沿いの高級リゾートやウォーターフロント住宅の開発余地は急速に枯渇していました。そこで首長シェイク・モハメドの号令のもと、国営開発大手ナキール社(Nakheel)が主導し、ヤシの木の形状を採用することで表面積を極大化する奇策を打ち出します。これにより、ドバイの海岸線は一挙に数百キロメートル規模へと拡張されました。
背景にあったのは、限られた石油資源が枯渇する前に「観光・金融・ラグジュアリー不動産」を軸とした経済基盤を確立するという国家存亡をかけた構造転換です。パーム・ジュメイラはコンクリートの基礎杭を海底に打ち込まず、数億立方メートルの砂と天然の岩石のみを緻密に積み上げる特殊工法で造られ、文字通り世界を驚嘆させるアイコンとなりました。