この劇場を語る上で外せないのが、骨太な人間ドラマをスクリーンに叩き込んできた映画人たちの存在だ。特に大阪の底バイタリティをスクリーンに焼き付けた井筒和幸監督は、新世界の街並みや劇場が醸し出す空気を作品の重要な血肉としてきた。血気盛んな若者たちの群像劇を描いた名作の背景には、この街の空気が色濃く反映されている。
そして銀幕のスター、菅原文太が放っていた鋭い眼光と狂気は、まさにこの劇場のスクリーンで観てこそ真価を発揮した。観客はスクリーンの中のギラついた男たちに己を重ね合わせ、上映が終われば肩をそびやかして街へと繰り出していったという。昭和レトロ映画が持っていた圧倒的なパワーは、単なる娯楽を超えた生々しい体験として、今も館内の空気に染み付いている。