空に浮かぶ雲は、世界気象機関(WMO)および気象庁が定める「10種雲形(十種雲形)」と呼ばれる基本分類によって、発生する高度や形状ごとに10種類へ明確に分けられています。日常会話で親しまれている「羊雲」や「うろこ雲」は俗称であり、正式な気象用語ではそれぞれ異なる雲を指しています。
まず、羊雲の正式名称は「高積雲(こうせきうん)」です。地上からおよそ2,000メートル〜7,000メートルの中層に発生し、主に微小な「水滴」が集まってできています。もこもことした羊の毛のような厚みがあり、雲の底に灰色がかった影ができるのが特徴です。
一方、うろこ雲の正式名称は「巻積雲(けんせきうん)」(古くは絹積雲とも呼ばれます)です。こちらは地上5,000メートル〜13,000メートルという極めて高い上空(上層)に現れます。気温がマイナス数十度にも達する高空に位置するため、雲を構成しているのは水滴ではなく細かい「氷の結晶(氷晶)」です。非常に薄く繊細で、太陽の光を通すため雲自体に濃い影ができることはほとんどありません。
なお、秋の空を彩る「いわし雲」や「さば雲」も、気象学上はうろこ雲と同じ巻積雲に分類されます。漁師がいわしの群れに見立てたか、魚の波状のうろこに見立てたかという呼び名の違いに過ぎず、基本構造は同一の雲です。