ロケ地巡り、いわゆる「聖地巡礼」の波及効果は都市の回遊性に劇的な変化をもたらした。豊橋駅前のモダンな街並みから石巻山の静謐な緑、そして太平洋の雄大な波が打ち寄せる表浜海岸へと続くルートは、映画・ドラマファンにとって必訪の聖地となっている。
なかでも表浜海岸(伊古部海岸)の風景は格別だ。連続テレビ小説『エール』のオープニングシーンで全国の視聴者の心に刻まれたが、近頃ではNetflixによる新作サスペンスの重要な舞台として再びカメラが入れられた。荒々しい断崖と広大な砂浜が織りなすコントラストは、映像に張りつめた緊張感を与える。現地を訪れると、カメラを手にフレームを確かめる若者や海外旅行者の姿が絶えない。
さらに、大正ロマンの趣を今に伝える豊橋市公会堂などの歴史的建築物も、昭和初期を舞台としたヒューマンドラマの撮影現場として重宝されている。時代を超越した建造物の壁面に触れ、作品の息吹を感じながら歩く時間は、ファンにとって代えがたい体験となるだろう。