いま、国内の旅行トレンドは大きな地殻変動を迎えている。著名な観光地を一過性に消費する旅から、地域の深層部に触れる体験型の旅へのシフトだ。日本観光振興協会が発表する近年の動向レポートでも、地域の生活文化や古道に焦点を当てたマイクロツーリズムの需要が顕著に伸びていることが示されている。
この潮流の中で、歴史観光産業の新たな主役として注目を集めているのがまさに旧街道の再価値化だ。沿線の自治体や地元企業は、点在する古民家を活用したカフェや宿泊施設の整備に乗り出し、単なる通過点だった宿場町を「滞在して味わう空間」へと再生させつつある。歴史ファンだけでなく、日常の喧噪から離れて自分自身のペースを取り戻したいと願う幅広い世代が、この道を目的地として選び始めている。