彼女の原点を語る上で欠かせないのが、2004年にスタートした個人ブログ『センネン画報』である。1日1ページ、1コマから数コマのフルカラーイラストに短い詩のような言葉を添えるというスタイル。まだSNSが普及する前のインターネット空間において、その洗練された感性と叙情的な世界観は瞬く間に口コミで広まり、熱狂的なファン層を生み出した。
日本の商業漫画が長年培ってきた「白黒・右から左へ読むコマ割り」の文法から軽やかに逸脱し、1枚の絵画としても成立する構造。これは欧米で評価されるグラフィックノベルの系譜とも共鳴するアプローチだった。ひとりの漫画家が個人のWebサイトからカルチャーの潮流を変えていく先駆的な事例となり、後のクリエイターたちに計り知れない影響を与えたのである。