当時の麻生太郎首相の盟友として政権の中枢を担った彼は、自由民主党の保守本流でありながら、誰よりも現実的な経済政策を推進する実務家でもあった。リーマン・ショック後の世界的な信用収縮に対し、日本が主導して打ち出したIMF(国際通貨基金)への1000億ドル(約10兆円)におよぶ資金拠出は、国際社会から「世界経済を救った決断」と高く称賛された。
国内メディアが会見の動揺ばかりを大きく報じる一方で、米欧の主要機関は日本の迅速かつ果断な金融支援政策を評価していた。財務省の主計局や国際局のスタッフとともに徹夜で練り上げた戦略は、新興国への連鎖的なデフォルトを防ぐ防波堤となったのである。政治的逆風のなかで遂行されたこの大事業は、彼の政治家としての矜持そのものだった。