栽培している品種が「一季成り」か「四季成り」かによって、イチゴの花の開花時期と管理のアプローチは根本から異なります。ここを見誤ると、無用な時期に肥料を与えて開花を逃すなどの致命傷につながります。
従来の主流である「一季成りイチゴ(とちおとめ、あまおう、章姫、宝交早生など)」は、秋の低温(約15℃以下)と短日条件によって花芽を分化させ、冬の休眠を経て春の訪れとともに一斉に開花します。露地栽培における開花期は3月下旬〜5月上旬に集中し、5月中旬〜6月に一斉収穫を迎えます。一季成りでは、この春の一撃に全エネルギーを注ぎ込ませるため、開花前の追肥とマルチングによる地温確保、そして前述の徹底した摘蕾が極めて有効に機能します。
一方、近年の家庭菜園で絶大な人気を誇るのが「四季成りイチゴ(ドルチェベリー、よつぼし、めちゃデカッ!いちご等)」です。四季成りは長日条件や一定の温度があれば季節を問わず花芽を形成するため、春から初夏、そして秋から初冬(5月〜11月頃)までダラダラと咲き続けます。しかし、四季成りイチゴの開花管理には特有の難所が存在します。
日本の真夏(7月下旬〜8月)の35℃を超える猛暑期には、花粉の稔性が失われて奇形果や枯死が多発します。プロの知恵袋や試験場データが推奨するのは、「7月中旬〜8月下旬の酷暑期に咲く花や蕾はすべて摘み取る」というリセット管理です。夏の間は無理に実をつけさせず遮光ネット下で株の体力を温存させ、朝晩が涼しくなる9月以降に再び花を咲かせることで、秋に驚くほど大粒で糖度の乗った上質なイチゴをロングラン収穫できるようになります。