山口敬之氏のジャーナリストとしての原点は、1990年にTBS(現・TBSテレビ)へ入社したことに始まります。報道局社会部で事件記者を経験した後、政治部へ異動。政治記者として頭角を現し、特に清和政策研究会(安倍派)をはじめとする自民党中枢への取材で独自のネットワークを築き上げました。
その後、報道番組『報道特集』のプロデューサーを経て、TBSワシントン支局長に就任。日米関係の最前線を取材するエリートコースを歩みました。当時から政権幹部との親密な関係は永田町でも知られており、2016年にTBSを退社してフリーランスへ転身する契機となったのが、ベストセラーとなったノンフィクション『総理』(幻冬舎)の出版です。
同書は、第2次安倍政権の誕生から政策決定プロセスの裏側までを極めて近い距離から描写し、「安倍晋三元首相の最も近い取材記者」としてのブランドを決定づけました。しかし、この権力中枢への近さが、後に発生する一連の疑惑報道において「特別扱い」の疑念を招く火種ともなりました。