成田山や川崎大師の源流|真言宗智山派の歴史と教義・作法完全解剖

成田山や川崎大師の源流|真言宗智山派の歴史と教義・作法完全解剖

話題沸騰中の 成田山や川崎大師の源流|真言宗智山派の歴史と教義・作法完全解剖について、多角的な視点をご紹介しています。

仏教に関心を持つ多くの方が直面するのが、「新義真言宗の双璧」と称される智山派(ちさんは)と豊山派(ぶざんは)の違いです。両派ともに興教大師覚鑁を中興の祖と仰ぎ、根来寺の壊滅という共通の受難から出発していながら、再興の地やその後の展開において明確な個性を形成してきました。

歴史的な分水嶺となったのは、根来寺被災後の復興ルートです。玄宥僧正が京都に向かい智積院を興したのに対し、同じく根来寺で学んだ専誉(せんよ)僧正は大和国(現在の奈良県桜井市)の総持院に身を寄せ、西国三十三所観音霊場として名高い長谷寺を再興して「豊山派」の総本山としました。

比較項目真言宗智山派(Chisan-ha)真言宗豊山派(Buzan-ha)古義真言宗(高野山派など)総本山智積院(京都府京都市東山区)長谷寺(奈良県桜井市)金剛峯寺(和歌山県高野町)中興開山玄宥僧正専誉僧正―(空海直系を維持)主要寺院・大本山成田山新勝寺、川崎大師平間寺、高尾山薬王院護国寺(大本山)、西新井大師総持寺東寺、善通寺、随心院、醍醐寺寺院数・規模全国約3,000カ寺 / 信徒約30万人全国約3,000カ寺 / 信徒約30万人高野山派単体で約3,700カ寺声明・儀礼の特徴智山声明(力強く躍動的な節回し)豊山声明(繊細で優美な音律)南山進流声明(厳格な伝統保持)

教理面において両派に根本的な対立はありません。いずれも覚鑁が提唱した「本地加持説(ほんじかじせつ:宇宙の真理そのものである法身大日如来が、衆生を救うために自ら慈悲の説法を行うとする教え)」を基盤としています。しかし、智山派が関東の巨大な祈祷寺院群を包括し、庶民の厄除けや現世利益の信仰をダイナミックに取り込んできたのに対し、豊山派は観音信仰の聖地・長谷寺や徳川将軍家祈願寺であった護国寺を中心に独自の文化を醸成してきた点に、歴史的風土の違いが色濃く現れています。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。