日本全国で卯建が残る町並みは限られていますが、その双璧として名高いのが岐阜県美濃市と、四国に位置する徳島県美馬市の脇町うだつの町並みです。どちらも国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されていますが、その成り立ちと建築意匠には異なる文化的背景が存在します。
岐阜県美濃市は、慶長5年(1600年)の関ヶ原の戦い後、領主となった金森長近によって築かれた小倉山城の城下町として整備されました。長良川の舟運を活かした「美濃和紙」の集散地として莫大な富を蓄積した豪商たちが、整然とした目抜き通りに軒を連ね、美しい切妻造りの平入り商家に壮麗な卯建を競い合いました。
対する徳島県の脇町は、吉野川の舟運を拠点に「阿波藍」の取引で莫大な利益を上げた藍商人たちが築いた町並みです。重厚な本瓦葺きに、白漆喰と黒漆喰の鮮やかなコントラスト、そして一段と張り出した立体的な装飾が特徴的であり、商人たちの強烈な気概を今に伝えています。