都道府県の面積にまつわる議論では、SNSやネット掲示板を中心に事実無根の思い込みや誤解が頻繁に拡散されています。代表的な3つの盲点を論理的に正していきます。
誤解1:「東京23区のイメージから、東京都が一番狭いと思われている」
インターネットの知恵袋やクイズ投稿で最も頻出するのが「日本一狭いのは東京」という誤認です。確かに東京23区の総面積は約627km²しかなく、これ単体であれば香川県の3分の1程度です。しかし、東京都には八王子や町田、奥多摩を含む多摩地域(約1,160km²)があり、さらに伊豆諸島(大島、八丈島など)や小笠原諸島などの島嶼部(約400km²以上)が加算されます。本土から約1,000km離れた沖ノ鳥島や南鳥島もすべて東京都に属するため、面積上は香川・大阪を軽々と上回る45位に位置しています。
誤解2:「大阪府は関空を造ったから香川を抜いた」という短絡
前述の通り、関西国際空港の埋立地造成は確かに大阪府の面積を広げました。しかし、順位が入れ替わった1988年10月時点で、関空第1期島の埋立はまだ途上であり、竣工供用(1994年)前でした。逆転の主因はあくまで「国土地理院による境界未定地域の算定除外基準の導入」であり、香川県側の数値が約12km²差し引かれた制度改定のタイミングでした。関空の埋立地は、その後に開いた差を盤石にした補強材料に過ぎません。
誤解3:「北方領土や尖閣諸島など、境界問題は面積に反映されていない?」
国土地理院が毎年公表する面積調では、北方四島(約5,000km²)は北海道根室振興局の管轄として厳密に全国総面積に算入されています。一方で、各市区町村間の境界が未確定な山林や湖沼(十和田湖や富士山頂など)については、関係自治体の公認面積から除外されるか、都道府県全体の合計値としてプールされる運用がとられています。境界画定の進展によって、毎年のように市区町村の順位が数平方キロメートル単位で変動している事実はあまり知られていません。