大手学習塾の教務アンケートや教育相談の現場からは、「計算は解けるのに、一次関数の文章題になった途端に手がつかなくなる」という悲鳴が寄せられます。文章題で思考停止に陥る根本原因は、「問題文の日常語を、一次関数の数式(y=ax+b)に置き換える翻訳作業」ができていない点にあります。
文章題を攻略する鉄則は、問題文の中から「固定値(切片b)」と「変化量(傾きa)」を機械的に見つけ出すことです。
典型的な水道料金や通信費の問題を見てみましょう。
「基本料金が1,500円で、通信量1GBごとに300円が加算されるプランがある。x GB使用したときの料金をy円とする」
この場合、何も使わなくても発生する1,500円が切片bであり、1GB増えるごとに加算される300円が傾きaです。迷うことなく「y=300x + 1500」と定式化できます。
さらにテストの花形として登場するのが、動点問題(図形上を点Pが移動する問題)や、2台の自動車のすれ違いを扱ったダイアグラム(ダイヤグラム)です。ここで必須となるのが交点の求め方です。
「2直線の交点の座標を求めなさい」という問題は、難解に見えて実態は「2つの直線の式を連立方程式として解く」作業に帰着します。グラフ上の交点とは、2つの式を同時に成り立たせる唯一の共通解(x, y)にほかなりません。例えば、直線①:y=2x-1 と 直線②:y=-x+5 の交点を求める場合、代入法を用いて「2x-1 = -x+5」という一次方程式を解きます。移項して「3x = 6」より「x = 2」。これを直線①に代入して「y = 3」。したがって交点の座標は(2, 3)となります。幾何学的な図形の問題を、代数学の連立方程式で処理できるこの鮮やかさこそが、中学数学の醍醐味です。