国際試合で両国が対峙する際、最も独特な空気に包まれるのがオランダ国内の都市部です。アムステルダム西地区やロッテルダム南部など、モロッコ系住民が多く暮らす地域では、窓辺にオランダの三色旗とモロッコの星の旗が並んで掲げられる光景が珍しくありません。
現地コミュニティのSNSやファンフォーラムでは、試合が近づくたびに熱い議論が巻き起こります。「父の生まれた国を応援するが、自分を育ててくれたオランダの敗退も見たくない」「どちらが勝っても複雑だが、同時にこの上ない誇りを感じる」といった声が数多く見受けられます。スタジアムのスタンドでは、オランダのオレンジ色を身にまといながらモロッコのチャントを口ずさむサポーターの姿も見られ、敵味方という単純な二元論では割り切れない濃密な連帯感とライバル関係が同居しています。