インターネット上の健康コミュニティやSNS上では、膝や股関節の痛みに関して様々な言説が飛び交っています。「膝の内側が痛いなら変形性膝関節症だから軟骨成分を摂るべき」「あぐらがかけないのは股関節の骨が変形しているから無理にでも押し広げるべき」といった極論が散見されますが、これらは極めて危険な誤解です。
取材班が理学療法クリニックに通う患者の声やトレーナーの現場証言を追究したところ、次のような切実な現実が浮き彫りになりました。
「ハーフマラソン出場に向けて走行距離を月間150kmまで伸ばしたところ、急に膝の内側が電撃痛に見舞われた。軟骨のすり減りを疑って絶望したが、スポーツドクターに診てもらったところ、反り腰による縫工筋の過緊張と鵞足炎だった。無理に走るのをやめ、骨盤のアライメントを整えたら3週間で完治した」(30代男性ランナーの手記)
「デスクワーク中心の生活で、ヨガを始めた途端にあぐらのポーズで太ももの前外側と付け根に激痛が走った。先生に『体が硬いから無理やり倒しましょう』と上から押され、翌日には歩行困難に。結果は上前腸骨棘周辺の炎症。自己流や無茶なストレッチの怖さを痛感した」(40代女性デスクワーカーの証言)
ネット上に溢れる「痛いところを強く揉めば治る」という俗説に従い、炎症を起こしている鵞足部をグリグリとマッサージしてしまい、かえって組織を破壊して炎症を悪化させるケースが後を絶ちません。痛みの発生源は「膝」であっても、真の機能不全を起こしている元凶は「太ももを斜めに横断する縫工筋の筋腹」にあるという事実を、冷静に見極める必要があります。