テレビの中では「変なおじさん」や「バカ殿様」としてお茶の間を沸かせた志村さんですが、私生活では物静かで礼儀正しく、非常に気配りの人でした。家政婦の女性に対しても威圧的な態度は一切見せず、常に「いつもありがとうね」と柔らかな口調で感謝を伝えていたといいます。
「舞台やコント作りに悩む夜は、一人リビングで台本を抱きしめるようにして座っていた」――家政婦の目に映っていたのは、お笑いに対してどこまでもストイックで孤独な表現者の姿でした。
2020年3月、体調の異変を感じて病院へ向かう直前、志村さんが家政婦に遺した言葉は、いつもと変わらない「ちょっと行ってくるね」という短い一言でした。それが永遠の別れになるとは誰も思っていなかった瞬間であり、日常の延長線上で交わされた最後の会話として、女性の胸に深く刻まれています。