ビジュアルの先鋭性もさることながら、いしだ壱成をカリスマたらしめた最大の要因は、その圧倒的な演技力にありました。1993年に放送されたフジテレビ系ドラマ『ひとつ屋根の下』で演じた三男・和也役は、今なお語り継がれる当たり役です。保護観察処分を受けた不良少年でありながら、心根の優しさと家族への情愛を覗かせる難しい役どころを、粗暴さと脆さが同居する唯一無二のリアリティで演じきり、最高視聴率37.8%という驚異の記録に大きく貢献しました。
その後、脚本家・野島伸司とのタッグで主演を務めたTBS系ドラマ『未成年』(1995年)では、青春の鬱屈と社会への反逆を叫ぶ主人公・戸川博人(ヒロ)を全身全霊で熱演。第7回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演男優賞を獲得し、若手演技派の筆頭としての地位を揺るぎないものにします。さらに1998年の『聖者の行進』では知的障害を持つ青年・町田永遠役を狂気すら孕む純粋さで体現し、視聴者に強烈な衝撃を与えました。単なるアイドル俳優にとどまらない鬼気迫る表現力は、当時のドラマ界において突出した異彩を放っていました。