Speed『My Graduation』に隠された歌詞の真相と現在

Speed『My Graduation』に隠された歌詞の真相と現在

Speed『My Graduation』に隠された歌詞の真相と現在の全貌を詳しく解説してご紹介します。

『my graduation』をめぐり、長年ファンの間や音楽関係者の間で語り継がれているのが、「この曲は本当に学校の卒業を歌ったものなのか?」という疑問です。冒頭の「あなたと出逢えてよかった / いまは ひとり 瞳をとじれば / 甦る 貴方の笑顔」というフレーズから始まる歌詞は、春の別れを描きながらも、どこか哀愁と切実な痛みを帯びています。

SPEEDの全盛期楽曲をほぼ手中に収めていたプロデューサー・伊秩弘将氏は、当時のインタビューや音楽誌の取材において、本作の誕生経緯について重要な証言を残しています。当時メインボーカルを務めていた島袋寛子(当時13歳・中学1年)と今井絵理子(当時14歳・中学2年)の急激な精神的成長を目の当たりにした伊秩氏は、「子どもから大人へと移り変わる少女たちのリアルな葛藤と、誰にも言えない秘密の恋の終わり」を歌詞に投影しました。

すなわち、曲名にある「graduation(卒業)」とは、形式的な学校の卒業証書授与ではなく、「愛する人との別れを通じて、傷つきながらも一人立ちしていく魂の自立」を意味しています。「夜汽車」「誰もいない駅」「雨の舗道」といった情景描写は、中学生の日常風景というよりも、大人の切ない別れを彷彿とさせます。当時まだ義務教育下にあった少女たちが、背伸びをして歌い上げたからこそ、楽曲に唯一無二の緊張感と奇跡的な叙情性が宿ったと言えます。

さらに見逃せないのが、本作が日本テレビ系連続ドラマ『冷たい月』(中森明菜・永作博美W主演)の主題歌として書き下ろされたという事実です。ドラマの内容は、不妊治療の末に流産した女性が、担当外科医の家庭を復讐のために追い詰めていくという極めて重厚でダークなサスペンスでした。当初、ティーンアイドルグループの明るいイメージとは真逆とも思えるタイアップでしたが、伊秩氏はドラマが内包する「絶望的な孤独と、過去からの決別」というテーマを巧みに昇華させ、ドラマのシリアスな世界観とSPEEDのポップネスを見事に融合させました。日清食品「日清焼そばU.F.O.」の爽快なCMソングとしても起用される一方で、楽曲自体が持っていた陰影の深さこそが、四半世紀を超えて風化しない理由となっています。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。