満月様顔貌が生じる最大の要因は、プレドニンをはじめとする副腎皮質ステロイド薬の内服治療に伴う副作用です。ステロイド薬は体内で作られるホルモン「コルチゾール」を人工的に合成したもので、極めて優れた免疫抑制・抗炎症作用を持ちます。しかし、高用量を一定期間以上服用し続けると、過剰なコルチゾール作用が脂質代謝に大きな狂いを生じさせます。
具体的には、手足の末梢脂肪が分解されて細くなる一方で、顔面、頸部後方(野牛肩=バッファローハンプ)、体幹部(お腹まわり)に脂肪が再配分される「中心性肥満」が引き起こされます。これが、ステロイドの服用によって顔が丸くなる直接のメカニズムです。
なお、薬剤を服用していないにもかかわらず同様の症状が現れた場合、副腎腫瘍や下垂体腺腫によって体内からコルチゾールが過剰分泌される「クッシング症候群」という疾患が疑われます。いずれにしても、血中における高濃度のグルココルチコイド(糖質コルチコイド)が脂肪組織の分布を強制的に書き換えてしまう現象が根底にあります。