山下久美子の経歴を語る上で欠かせないのが、ギタリスト・布袋寅泰との関係です。二人は1986年に結婚。布袋は彼女のアルバムのプロデュースや楽曲提供を手掛け、『Tonight (星の降る夜に)』や『情熱』など、ロックとポップスが融合した名曲を数多く生み出しました。公私にわたる最強のパートナーとしてファンからも絶大な人気を博していました。
しかし、1997年に約11年間の婚姻生活に終止符を打ちました。離婚に至った背景には、当時山下の友人関係でもあり、布袋が楽曲提供を行っていた歌手・今井美樹の存在がありました。布袋は山下との離婚成立後の1999年に今井美樹と再婚しており、この一連の出来事はワイドショーや週刊誌で長期にわたり大きく報道されました。
山下久美子は2002年に出版した自叙伝『ある愛の詩』の中で、当時の生々しい葛藤や心の痛みを包み隠さず告白しています。親友関係であった今井への複雑な感情や、信頼していた夫の心が離れていく恐怖について、赤裸々な言葉で心情を吐露しました。しかし同時に、布袋への純粋な感謝や音楽的なリスペクトも綴られており、単なる暴露本にとどまらない「一人の女性としての愛の決着」を描いたドキュメントとして社会的な反響を呼びました。
現在では当時の確執を乗り越え、インタビューなどでも過去の出来事として穏やかに振り返るなど、精神的な成熟と解放に至っていることがうかがえます。