多発性骨髄腫は、骨髄の中に存在する形質細胞ががん化して異常増殖する血液のがんです。形質細胞は本来、体内に侵入したウイルスや細菌を攻撃する「抗体(免疫グロブリン)」を産生する重要な免疫部隊ですが、これが腫瘍化すると役に立たない異常なタンパク質(M蛋白)を無制限に作り続けます。
同じ血液のがんである白血病との違いについて疑問を持つ方も少なくありません。白血病は主に白血球のもとになる未熟な造血幹細胞などががん化し、血液や骨髄全体に急激に広がる疾患です。一方、多発性骨髄腫は成熟した形質細胞が異常を起こし、骨の破壊や腎機能の低下など特徴的な全身症状を引き起こす点に明確な差異があります。
発症の直接的な原因については、染色体異常や遺伝子変異の関与が判明しているものの、「これをしたから必ず発症する」という特定の外的要因は特定されていません。親から子へ直接遺伝する病気ではなく、65歳以上の高齢層に多くみられることから、加齢に伴う細胞複製時の偶発的なエラーの蓄積が主な背景と考えられています。