かつては密室の孤独だった浪人生活を、動画プラットフォームや短文SNSで可視化したのが四浪さん YouTube発信者たちの台頭でした。机の上の勉強風景を24時間垂れ流す「Study With Me」配信や、模試の結果を包み隠さず公開する生々しい動画は、数万回から数十万回の再生数を記録。ネット住民の恰好の観察対象となりました。
当時の特番インタビューや手記において、ある発信者は次のように語っています。
「カメラを回すことでしか、自分が社会とつながっている実感が持てなかった。模試でE判定を叩き出し、コメント欄に『早く諦めろ』『親不孝者』と書き込まれるたびに吐き気がしたけれど、その悪意すらも一人で部屋に閉じこもっている絶望よりはマシだった」
公の場で見せた表情の翳りや発言のニュアンスからは、承認欲求と受験鬱(うつ)の狭間で揺れ動く極限状態が伝わります。SNSや5ちゃんねる、Yahoo!知恵袋などのコミュニティでは、「四浪してまで受かる価値があるのか」「人生のピークを受験浪費で潰している」という冷ややかな意見が噴出する一方、「何かに狂気じみた情熱を注げること自体が才能」「結果を出せばすべて美談になる」という熱烈な擁護派に二分されていました。
こうしたネット空間の熱狂が語り継がれる過程で、「四浪さん」は単なる一個人の呼称を超え、「引き際を見失いながらも何かに執着し続ける現代人の象徴」として消費された側面は見逃せません。