物語の主要な舞台となる東京・銀座。ネオンが眩く輝くこの街は、日本最高峰のステータスと洗練された大人の社交場であり続けると同時に、政治とビジネスの欲望が渦巻く巨大な密室でもあった。元子が開業した高級クラブ「カルネ」は、男たちの虚栄心と秘密が交錯する最前線として描かれる。
時代が変わり、決済手段やビジネスのスタイルが様変わりした現代においても、夜の街の奥底に隠された人間の本質や、表舞台には出ない金の流れが消え去ることはない。清張が巧みに描き出した銀座の闇の構図は、現代の高級クラブや密室で行われる政財界の駆け引きの現場にも、全く同じ色彩を持って息づいている。